徒長が起きた多肉植物でも、適切なケアで見事な復活を遂げることが可能です。本記事では、徒長の原因とそれを解決する仕立て直し方法について、分かりやすく解説します。
1.多肉植物の徒長とは:基本知識と原因
多肉植物が不格好にひょろひょろと伸びすぎてしまう現象を「徒長」と呼びます。徒長は、具体的には茎や葉が異常に伸び、本来の形を崩すことを指します。この状態は、多肉植物の成長にとって望ましくない現象となります。
徒長の主な原因は、日照不足、水遣りのし過ぎ、肥料のあげすぎ、風不足などがあります。これらは全て、多肉植物が健康に育つための環境とお世話の方法がマッチしていないことから生じます。例えば、多肉植物は日当たりが良い場所を好みます。しかし、日照時間が不足すると光を求めて茎が伸びてしまい、結果的に徒長を引き起こすのです。
これらの知識を持つことで、多肉植物の健康維持や徒長の防止に役立てられます。
(1)徒長の定義と特徴
多肉植物の徒長とは、植物が本来の健康な形を保てずに、茎が細く伸びてしまい、葉の間隔が開いて見た目が間延びした状態のことを指します。徒長は、本来のコンパクトな形状から大きく逸脱するため、見た目の変化が顕著です。また、この徒長状態は、日照時間が不足して光合成が十分に行われない場合や、水の供給が適切でない場合に起こります。適切な管理が行われていないと、徒長によって植物の生命力が弱まる可能性もあります。
日光不足により徒長した苗
(2)徒長の主な原因:日照不足、水遣りのし過ぎ、肥料のあげすぎ、風不足
多肉植物が徒長する主な原因は、日照不足、水遣りのし過ぎ、肥料のあげすぎ、風不足となります。それぞれどのような影響をもたらすのか詳しく見ていきましょう。
日照不足は、多肉植物が光合成により成長するため、十分な光を得られないと細長く伸びてしまう徒長を引き起こします。また、水遣りのし過ぎも徒長の一因であり、適切な水分管理が必要です。しっかりと乾燥させてから次の水遣りを行うことで、根腐れを防ぎ徒長を抑制します。
肥料は、適度な量であれば多肉植物の成長を助けますが、与えすぎると徒長を招く可能性があります。適切な使用量を守ることが重要です。風通しの悪さも徒長を引き起こす要因であり、多肉植物は適度な風を通して呼吸するため、風通しの良い場所で育てることが望ましいです。
以上の対策を実行し、徒長を防ぎましょう。
2.徒長した多肉植物のデメリット
徒長した多肉植物はその見た目だけでなく、健康状態にも影響を与えます。
(1)見た目の変化:徒長は、必要以上に茎が伸び、葉と葉の間隔が広がります。その結果、美しい形を保つことが難しくなり、形が崩れてしまいます。特に多肉植物は見た目の魅力が大きいため、徒長は大きなデメリットとなります。
(2)生育の影響:徒長すると植物の免疫力が低下します。それにより虫がつきやすくなったり、病気にかかりやすくなります。さらに、新しい茎が健康に成長しづらくなるなど、植物全体の生育にも悪影響を及ぼします。
以上のように、多肉植物の徒長は見た目の美しさを損なうだけでなく、植物自体の健康にもマイナスの影響を及ぼします。したがって、適切な管理を行い、徒長を防ぐことが重要となります。
(1)見た目の変化:形が崩れる
徒長した多肉植物は、見た目に大きな変化が生じます。その特徴的な形状は、元々ふっくらとした葉が持つ美しさを損ないます。具体的には、茎が細くヒョロヒョロと伸びてしまい、葉と葉との間隔も広がります。これにより全体のバランスが崩れ、見た目が間延びした感じになってしまうのです。また、エケベリアの様に茎のない種類は葉が中心部の成長点から水平方向に広がり、葉が伸び広がりロゼットが型崩れします。
一見、その状態は「育っている証拠」とも言えますが、健全な成長とは言えず、多肉植物本来の美しさを楽しむためには注意が必要です。この状態を放置すると、最終的には育ち方が一方的になり、栄養のバランスも崩れてしまう可能性があります。
日照不足により徒長し、傾いている苗
(2)生育の影響:栄養分の偏り
多肉植物が徒長すると、見た目だけでなく生育にも影響が出ます。具体的には、栄養分の偏りが生じることが多いです。多肉植物は短い茎に多数の葉を持ち、それぞれの葉が均一に日光を浴びたり、水分や栄養分を吸収したりします。しかし徒長により茎が伸びてしまうと、栄養分が適切に行き渡らず、下の葉に十分な栄養が届かない状況が生じます。その結果、下の葉が黄色くなったり枯れたりすることがあります。徒長した場合には、早めに適切な対策を取ることで、健康な状態を保つことができます。
3.徒長した多肉植物の仕立て直し方法
徒長した多肉植物の仕立て直しには、適切な切り方とその後の管理が重要です。
(1)茎が長い多肉植物の仕立て直し方法: 茎が長く伸びてしまった場合は、茎の途中を切り、その部分を土に挿して新たな植物とします。
(2)茎が太い多肉植物の仕立て直し方法: 茎が太くなってしまった場合も、茎を切り、その部分を再利用します。このとき、切る位置と角度に注意が必要です。
(3)切った部分の利用(挿し木と葉挿し): 切った部分や落ちた葉は、挿し木や葉挿しとして再利用できます。これは新たな植物を育てる、または複数の植物を作る絶好の機会です。
(4)親株から新芽が出る場合の対応 :親株から新芽が出た場合は、新芽が成長したら親株から分けて独立させます。
こうした仕立て直しを行うことで、徒長した多肉植物も再び美しい形に戻ります。
(1)茎が長い多肉植物の仕立て直し方法
茎が長くなった多肉植物の仕立て直しは、まずは適切な位置でカットすることから始まります。茎の先端部分に葉がついている部分を、茎から3〜5cmの位置もしくは、下の葉を数枚茎に残した位置で切り取ります。
土に挿す茎の部分に葉がついている場合は、茎から外します。この葉も葉挿しとして使えます。切り取った部分は、以前は陰干ししてから鉢に植えるのが主流でしたが、今では多くの方が切ってすぐ新しい土に挿して育てています。陰干しすることで、切り口が乾燥し、カビや腐敗を防ぐと考えられていましたが、最近では直ぐに土に挿すことで発根を促すと考えられています。多肉植物の種類や自分に合った育て方で育ててください。植え替える際の土は、水はけの良いものを選び、根腐れを防ぎましょう。
これらの手順を踏むことで、徒長した多肉植物も健康的に育てることが可能です。大切なのは、愛情を持って丁寧にケアすることです。
間延びした葉と葉の間をハサミでカット。
(2)茎が太い多肉植物の仕立て直し方法
エケベリアの様にほとんど茎がなく、茎が太い多肉植物の徒長に対する仕立て直しは、切り戻しと株分けの2つの方法が主流です。
まず、切り戻し方法です。切り戻しは茎の途中を切ってその部分から新たな芽を出させる方法です。まず、健康な部分を見極め、そこから数ミリ〜数センチ上を清潔なハサミで切ります。もし、ハサミが入る隙間がない場合は、テグスやカッターナイフなどを使用します。切りとった部分の下の方の葉を取り新しい土に植えて完了です。
次に、株分け方法です。エケベリアなどの多肉植物は、成長に伴い子株がついたり元々多頭の株の場合、密集することで日が当たらない株が徒長することがあります。この場合、茎ごとに分けて植え替えることで、それぞれの株の形を整え、さらに新たな多肉植物を増やすことが可能です。
以上の方法で、茎が太い多肉植物の徒長もきちんと対処できます。
テグスを使ってカット。
綺麗に切れたカット後の苗。
(3)切った部分の利用:挿し木と葉挿し
徒長した多肉植物の茎を切る際、捨てずに活用する方法として挿し木や葉挿しがあります。
挿し木は、切り取った茎を土に挿すことで新たな株を作る方法です。一方の葉挿しは一部の葉を取り、それを土に置いて新たな株を作る方法です。
1.挿し木:切り取った茎の、土に挿す部分の茎から葉を取り、土に挿します。その後は通常の管理を行います。
2.葉挿し:落ちた葉や取り除いた葉が元気な葉の場合、全て葉挿しとして使えます葉の付け根部分を土に埋めます。少しずつ根が出てきて新たな葉が育つのを見守りましょう。
これらの方法を用いることで、一つの多肉植物から新たな株を増やすことが出来ます。
上:カットした元の苗
左下:カットした頭の部分を挿し木
右下:カットした苗の茎から取り外した葉を葉挿し
(4)親株から新芽が出る場合の対応
徒長した多肉植物から新芽が出てきた場合、その対応方法は親株と新芽の健康状態によります。具体的には、親株が元気を失っている場合、新芽を傷つけずに親株を剪定し、新芽を元気に育つための環境を整えます。
親株から新芽が出ている状態では、親株が新芽に対して栄養を供給しています。しかし、親株が栄養を奪われて弱ってしまうこともあります。そこで、適切な時期に新芽を親株から切り離し、個々に育てることをおすすめします。
また、新芽が大きくなりすぎて親株が弱っている場合は、新芽を取り除くことも一つの方法です。これにより、親株の負担を軽減し、元気に育つようサポートします。
これらの対応を行うことで、徒長した多肉植物でも健康的に育てることが可能です。ただし、対応方法は植物の種類や状態により異なるため、詳細は専門家に相談することをおすすめします。
4.多肉植物の仕立て直しの最適なタイミング
多肉植物の仕立て直し、つまりカットする最適なタイミングは、成長期の時期です。この時期は植物の生命力が高まっているため、カット後の回復が早く、新しい芽吹きも期待できます。しかし、カット直後の元々の株は日の当たっていない部分が露出するため、明るい日陰で管理を始め、徐々に日光に慣らすことをおすすめします。
梅雨や夏の暑い時期は生育が止まるため、仕立て直しは避けるべきです。特に夏は植物がダメージを受けやすいため、仕立て直し後の回復が遅くなります。そのため、しっかりとした計画を立てて仕立て直しを行うことが大切です。
徒長した苗をカットして2ヶ月。新しい苗が育ってきた。
5.徒長防止のための多肉植物の管理方法
徒長を防ぐための多肉植物の管理方法には、主に4つのポイントがあります。
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日照管理:多肉植物は適切な日照時間が必要で、日当たりが悪いと徒長しやすくなります。ただし夏の直射日光は避け、遮光をしたり、半日陰などで管理しましょう。
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水遣りの頻度と量:一般的には、多肉植物は乾燥を好むため、水遣りは土が完全に乾いた後に行います。適度な水分が必要な時期や種類もありますので、各種類の特性を理解することが重要です。
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肥料の与え方:肥料は成長期に与え、休眠期には控えます。適量を守り、過剰な施肥は避けてください。
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風通しの良さ:風通しが悪いと湿度が上がり、カビやダニが発生しやすくなります。適度な風通しを保つことで、これらの問題を防ぎます。
これらの方法を実践することで、健康的な多肉植物を育てることができます。
(1)日照管理
多肉植物は一般的に日当たりの良い環境を好みます。そのため、日照時間が不足すると徒長の原因となることがあります。
徒長を防ぐためには、日照時間とその強度を適切に管理することが重要です。具体的には、一日に6時間以上、できれば全日照の環境を提供することを目指しましょう。しかし、真夏の直射日光は強すぎて葉焼けを引き起こす可能性があるため、午後の強い日差しを避けるなど、時期や時間帯による調整も必要です。
また、寒冷地などでは冬季に室内で管理する必要もあります。その際は、窓辺などの自然光だけでなく、育成ライトを利用することも一つの方法です。これにより、光量や時間をコントロールし、徒長を防ぐことができます。
以上のように、適切な日照管理を行うことで多肉植物の徒長を防ぐことが可能です。
(2)水遣りの頻度と量
多肉植物の水遣りの頻度は一般的に週に1回から3週間に1回とされています。しかし、これはあくまで目安であり、実際の頻度は多肉植物の種類や季節、環境によって変わります。理想的な水遣りは、多肉植物の状態を見て適切な量の水をあげることです。
水遣りのタイミングは、多肉植物の葉にシワができていたらその時が適切なタイミングとなります。葉が水分不足により乾燥し、シワができてきたら、そこで水をあげましょう。多肉植物は乾燥を好む植物なので、土が乾燥しているだけでなく、葉にも乾燥の兆候が見られたときに水やりをするのも良いです。注意点としては、あまり水をあげすぎてしまうと根腐れの原因になりますので、適度な水遣りを心がけましょう。
水やりの回数は控えめに、1回の水やりはたっぷりと
(3)肥料の与え方
多肉植物の種類や育て方にもよりますが、多肉植物は成長期を迎える春から夏に肥料を与えることが推奨されています。ここで重要な点は、必要以上の肥料を与えないようにすることです。多肉植物は本来、栄養価が低い土壌でも生育できる能力を持っており、肥料を過剰に与えると徒長を引き起こす可能性があります。具体的には、一般的な観葉植物用の肥料を使用する際には、指示通りの量の半分程度に調整してあげると良いでしょう。
(4)風通しの良さ
多肉植物は、風通しの良さも重要な管理要素です。適度な風が当たることで、多肉植物の生育を活性化させ、虫の発生を抑え、徒長を防ぎます。
特に湿度の高い環境では、風通しが悪いとカビやダニが発生しやすくなります。それだけでなく、風通しが悪いと湿度が上がりやすく、多肉植物の健康を損なう可能性があります。そのため、風が通りやすい場所に置くことが推奨されます。
また、室内栽培の場合は、扇風機などを利用して人工的に風を作ることも効果的です。ただし、直接風が当たりすぎると乾燥しすぎてしまうので、風量や距離には注意しましょう。無風状態も避け、適度な風量を維持しましょう。
6.まとめ: 徒長した多肉植物も諦めずに!
多肉植物が徒長したからといって諦める必要はありません。徒長は不適切な管理によって引き起こされますが、それらの管理方法を改善し、適切な仕立て直しを行うことで、元の美しい形に戻すことが可能です。
徒長の主な原因は、日照不足、水遣りのし過ぎ、肥料のあげすぎ、風不足などです。これらの問題を解消するためには、日照管理、水遣りの頻度と量、肥料の与え方、風通しの良さを見直すことが求められます。
また、徒長した部分を適切にカットし、挿し木や葉挿しで新しい植物を育てる方法もあります。このようにして徒長した多肉植物も新しい命を育むための一部となります。
多肉植物の美しさを保つためにも、適切な管理と徒長の対策を心掛けましょう。
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